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2005年 [家畜保健所だより」への投稿記事より 

「母豚の愛情」って?

 わが豚舎は27年前にリサイクルされた材料を使って手作りで作ったものなので、ともかくボロである。ボロであるが故に様々な騒動が起こる。これは数年前のお産にまつわる冬の出来事である。
 その当時使っていた手作りの分娩枠はもう20年以上使っていたため、あちこち壊され修理のための溶接の後がそこらじゅうにあるものだった。そんな痛々しい枠に入ってきたのは、初めてのお産である新人君。たいていの新人君はいままで外の放牧場で自由に過ごしていたものだから、分娩枠のような狭いところに突然拘束されると、とんでもない力で暴れる。その日は夕方お産が始まりそうなことを確認して一旦家に戻り夜中再び豚舎へ行った。扉を開けると何か雰囲気が違う。お産予定の豚のところへ目をやるといない。分娩枠のパイプはものの見事に捻じ曲げられ大きな空間が出来ているではないか。では豚はどこへ。扉は閉まっていたしどこへも出られるはずがないのだが・・・。よく調べてみると反対側の扉の板が壊されている。これはやばい。この寒い冬の夜中どこを探せば良いというのか。ともかく懐中電灯をもって周辺を探してみる。いない。山の中へ入ってしまったのだろうか。もう少し範囲を広げて探してみるが、懐中電灯の光に限界を感じ捜索は中止。
 翌朝明るくなると同時に家を飛び出し探しに出かけた。恥ずかしい話ではあるが昔はよく豚が逃げ出しそのたびに探し回ったので、逃げた豚を追っかけるのは結構得意である。まずは落ち着いて深呼吸をし、逃げた豚の気持ちになりきることである。そして行き先の見当をつけたら、西部劇に登場するインデアンよろしく足跡を見つけることである。舗装道路ではだめだが山道なら結構見つけられるものである。「あった」大きな母豚の足跡。思ったとおり山の中へ向かっている。不安に襲われながら「道沿いなら足跡も確認できるが藪の中ではなかなか分からない」などと考えて足跡を追いかけていると、豚舎から150mぐらい進んだところで突然「ブゥー」。落ち葉の積もっているところに穴を掘り、こっちを向いてなにやら言いたげに再び「ブゥー」。
 「馬鹿やろー。心配させやがって」はドラマの世界。腹の辺りでチビが動いている。1頭、2頭、3頭・・・。生きているのは七頭。残り半分はすでに死んでいる。ともかく7頭を助けるため病院へ。いや保温箱へ運ぶ。さてと、次の問題は母豚をどうやって連れて来るかである。体力を消耗していなければ好物のパンで引っ張って来られるのだが・・・。
 とりあえずパンを投げてみる。食べた。食欲はありそうだ。立ってくれよと祈りながらもう少し手前に投げる。体を起こして食べるが腰までは上げない。後ろに回って尻尾を持ち上げ強制的に立たせる。「さあ、前に進んでおくれ」パンを投げる。1歩、2歩。くるっと回って元へ戻ろうとする。「おいおい、戻るな」パンを投げ続ける。今度は4,5メートル歩いたところで立ち止まりなにやら考えている様子。そしておもむろに後ろ向きまた戻ってしまった。「お前の子供はもうそこにはいないのだ。帰るよ」そんな言葉をかけながら行ったり来たり。ようやく10メートルほど引っ張ってきたが今までと違って今度は頑としてその先へ進もうとしない。「私は食べ物に釣られ、それ以上のもっと大事な何かを忘れているのでは・・・?」といわんばかりに考え込みしばし立ち止まってしまうのである。「思い出した。私の子が・・・」何回やっても母はその時点で戻ってしまうのである。しょうがない。ちょっと荒っぽくなるが板を使って戻ろうとする豚を力づくで阻止し、前へ押した。最初はかなり抵抗したがしばらくしてあきらめたと思うや、今度は一転、狐につままれたように全く抵抗せずパンを追ってすたこらすんなり分娩舎まで戻ってきた。メデタシ。メデタシ。それにしても、「行く」「行かない」を分けたあの境界線は何だったのだろう。
 教訓
「ああ、母の愛は山より高し。海より深し。食べ物より強し」
「えッ・・・?」
「食べ物より強し」は削除。
[ 2010/05/23 10:22 ] 農園主のブ~タレ | TB(0) | CM(0)

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